Beer [ビール] はやっぱり生ビールに限る!と思ってませんか?
日本人はビールが大好きです。ビールは生ビールに限る!と思っている方、生ビールの本当の定義を書いてみましたので、ご覧ください。
「生」にこだわる日本人
暑い夏に居酒屋やビアホールに入って、店員さんに「生ビールください!」とお願いして、運ばれてくるキンキンに冷えたジョッキビールを一気に飲むあの瞬間・・・。最高ですよね。
ところで、生ビールがお店でしか飲めない特別なビールと思っていませんか?
実は、現在日本の大手ブランドが市販しているビールは、瓶も缶も含めてほとんどが「生ビール」なんです。
「生ビール」とは何か?
日本でビールの製造が始まったのは明治時代。今の大手メーカーのキリン、アサヒ、エビス、サッポロはいずれも明治時代に創業された会社です。
当時のビール製造過程は、大量に生産して保存するために熱処理がされていました。熱処理と言っても煮沸するわけではなく、低温の熱で酵母や雑菌を殺菌してしまうんですね。足湯につかる程度の温度です。
つまり日本では、熱処理をおこなっていないビールのことを「生ビール」と呼んでいます。
「生ビール」の論争
1967(昭和42年)にサントリーが精密なろ過装置で熱処理をしないで酵母菌を取り除いたビールを製造、販売しました。そこで熱処理はされていないが、酵母菌が入っていないものを「生ビール」と呼ぶべきかについて論争が起こりました。
そもそも「生」ビールとは、「樽から直接注ぐ(ドラフト)」ビールを指すものと認識されていたのですから。
結局、1979年に論争が終結し、公正取引委員会が「生ビール」を「熱処理されていない」ビールと定義づけました。これを受けて、他社もこれに続いて熱処理していない「生ビール」を生産しているのです。
「ドラフトビール」とは
元々「ドラフト」とは「汲み出す」という意味です。
樽詰したビールを直接汲み出したビールのことをドラフトビールと呼んでいます。そのうち樽詰ビールをドラフトビールと呼ぶようになりました。
日本で生産されるビールに限っては、生ビールもドラフトビールも熱処理していないビールを指し、ドラフトビールはどれも皆「生ビール」です。でも、熱処理されていない缶ビールや瓶ビールも生ビールなんです。
どうしてお店で飲むドラフトビールはおいしいのか?
では、お店で飲むドラフトビール=生ビールは何故おいしいと感じるのでしょうか。色々な説がありますが、お店がおいしいビールを出すことに努力していることに他ならないと思います。
- ビール工場から納入された新鮮なビールをお客さんに提供している
- ビールサーバーの清掃をきちんと行い、最高の状態でお客さんに提供している
- 飲んだビールがおいしいと感じるような店の雰囲気を作っている
- おいしいビールの注ぎ方の研修を受けるなど、技術を磨いている
海外での生ビールの認識は?
生ビールやドラフト・ビールという言葉の使い方や認識は国によって違います。
欧米には低温殺菌処理を行うものが多く、樽詰めのビールを「ドラフトビール」、瓶詰めなら「瓶ビール」として販売しています。日本のように生ビールにこだわるという認識がそもそもありません。要はそのビールがおいしいと感じるかどうかなんでしょうね。
熱処理を行っている日本のビール
欧米では、むしろなるべく酵母が生きている状態のビールが好まれることも多いです。
日本の生ビールは酵母も除いてしまうので、酵母が持つ苦みや旨味、香味が失われてしまいます。こういった消費者の声もあり、昔ながらの熱処理を加えたビールが日本でもわずかながら販売されています。
まとめ
- 日本に限っては、熱処理をおこなっていないビールのことを「生ビール」と呼んでいる
- ドラフトビールとは、樽詰した生ビールを直接グラスに注ぐビールをいう
- お店で飲むドラフトビールがおいしい理由は、お店の人が懸命に努力しているから
- 欧米では「生ビール」という感覚はなく、樽詰の「ドラフトビール」と瓶詰の「瓶ビール」を区別しているだけ
- 熱処理を行っている日本のビールも味わうことができます
Beerの歴史について興味を持っていただければ嬉しいです。
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